1.ほかほかなゴハン。ほくほくなココロ。
ホームレスの人の中には、炊き出しでのお弁当やゴミを漁って見つけた食事のことを「メシ」と言う人がいます。それは、その人にとって栄養を取るためだけの食事にすぎないからです。しかし、Homedoorでこれまで定期的に開催してきたイベントで皆で食事を取ると、「みんなで食べるゴハンはおいしいね。」とおっしゃられたのです。
路上で厳しい生活を送られる方々に、「メシ」ではなく「ゴハン」と感じてもらえる場を、より拡充していきたいと考えています。
特にご相談に来られたばかりの方にも、まずは健康的で温かい「ゴハン」を食べてもらいたいと思っています。
「ここはどんなところだろう。」「自分はどうなってしまうんだろう。」
不安を抱えて恐る恐る相談に来られる方。何日も水だけで過ごし、やっとの思いでご相談に来られた方。そんな方々に、まずはおなかいっぱいにゴハンを食べてもらう。その上で、これからどうされたいのか、次のステップに向けた話をしていきたいと思っています。
2.増え続ける相談者。求められる丁寧さ。
Homedoorでは、巡回活動「ホムパト」によって「見えやすいホームレス」の人へ根気強くアプローチし続けるのと同時に、インターネットカフェやコンビニ等への営業活動によるチラシ掲示、オンライン相談を通じて「見えにくいホームレス」の人たちにもアウトリーチしてきました。その結果、年々相談者が増え、2020年度はさらにコロナの影響で相談者が増え、1200人が新規で相談に来られています。
また、多様なアウトリーチ施策を実施してきた結果、相談者の平均年齢も下がってきており、なかには10代からの相談もあります。ただ、若い相談者の場合は短期的な支援で次の仕事を見つけていく方が多く、滞在期間が短い中での相談員との関係構築、濃密なサポートが重要となっています。そこで、おかえりキッチンでの就労体験を通じて、多面的な支援を展開します。
3.「居場所」と「出番」をつくりだす。
ホームレス状態になる過程で、単に物質的な「ハウス」を失っただけではなく、心の拠り所となる居場所「ホーム」も失われてしまっている人も多くいます。また、相談に来られる人の多くは、「申し訳なさ」をどこかに感じられています。初回相談中に、何度も何度も「申し訳ない」と泣きながらおっしゃられる方もいます。
そんな方に、心理的安全性を感じてもらいながら、二人三脚で次のステップに向けて相談していくためには、「ここにいていいんだ」「自分の居場所がここにある」と感じてもらうことが重要です。
そこで、アンドセンターで無料で宿泊していただく代わりに、おかえりキッチンの運営を手伝っていただく就労体験の機会を提供します。就労支援員とともに働いてもらう中で、その人の課題を発見し、就労支援を行います。非正規雇用での仕事を転々としてきた人が多いですが、カフェで就労支援員と気軽に会話をしながら、次のステップに向けて相談できる場としても活用したいです。
4.卒業後も戻って来られる新しい仕組み「おかえりチケット」
これまでHomedoorでは、支援後のアフターフォローとして定期的な連絡や自宅訪問を重ねてきました。しかし、新規の相談者数が年間1000名を超える中で、限られた人員で運営するHomedoorでは、効率的でありつつも、綿密なアフターケアの重要性を実感しています。
そこで、おかえりキッチンでの就労体験を修了された方を対象に、「おかえりチケット」をプレゼントします。これは、おかえりキッチンで毎月1食無料で食べられるチケットです。修了後、半年間毎月1回の6食分。その後の2年間は半年ごとで4食分の合計10食分を提供します。
相談後、実はうまくいっていないという状況にあっても、せっかく支援してもらったのにまた相談するのは申し訳ないと思われる方もいます。そこで、チケットを使ってご飯を食べに行こうという「口実」があるとより相談してもらいやすい環境を提供できるのではないかと考えています。
5.地域に開かれた「コミュニティカフェ」
ホームレス問題は、そのイメージから関わりにくい印象を与えてしまうことがあります。そこで、表向きには一般的なカフェとして運営することで、気軽に、Homedoorとの接点を地域の方々に持っていただけることも狙いです。
また、Homedoor周辺は、コミュニティースペースやカフェが少ないエリアです。そこで、地域の皆様が気軽に集ってもらえるカフェを運営することで、地域のコミュニティデザインを手がけていく場としても活用していきます。
毎月1,000円/口の継続的な寄付で、おかえりキッチンの運営を支えてください!